旅路



永き時なほ 我が前に  あゆみ始めし 遠き日々
今となりては 忘却の  彼方に消えし 思ひ出と

紅き契りを 口元に  運命(さだめ)の歯車 回り出す
滅びの坂を 下りしは  己(おのれ)がためか 誰(た)がためか

生きし証を 残さむと  我らが記憶(うた)を 残さむと
語りいづるは いつの日か  語り終へるは いつの日か

契りの主は 代(だい)重ね  されど己(おのれ)は 旅半ば
糸断つ者を 求むるは  今世限りの 望みなり

柚供詩(ゆくし)の丘に 着いたれば  最後の契り 果たさむと
真(まこと)の名をば 取り戻し  別れの言ノ葉 告げしとや

旅路は永く 果てしなく  呪われし血の 絶ゆる時まで



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