“仮面”の陰で



雑音まじりの 深夜放送 手を伸ばして スイッチを切った
君に会えない日 その夜は 昔の傷が疼いて眠れない

白い月 冬の夜の下に一人 霜に素足を傷つけながら
待っていた 扉開くのを 暖かな光 差すのを

  幼い心 傷つけるものは あまりに多く
  傷を隠し 強がることが いつしか日常に

“仮面”をつけた 他人(ひと)に痛み悟られぬように
     そして自らの痛みも忘れた…

ただ冷たい笑みを返すだけ 私の“仮面”は
たとえ全ての表情 失っても 刃は心には届かないから


生と死の狭間に一人 人ごみの中 孤独に抱かれる
知っていた 数万の中の一 捨て駒に過ぎないと

  想うことに 意味などないと この世界では
  今日明日(あした) 失われるやもしれぬ 儚い命だから

“仮面”をつけた 無益な想いに引きずられぬように
     それは君も同じだったはず…

ただ冷たい笑みを返すだけ 私の“仮面”は
壁を破れば 脆すぎる心 言葉の刃に切り刻まれるから


 君は私に何を求める? 応えられないよ君の想いに
 失ったはずの表情 それは “仮面”の下に眠っているだけ?
 どうしてどうして君は 無益な想いを私にかける?
 安らぎの代償に失ったものの大きさ 今となって気づく…

ただ冷たい笑みを返すだけ 私の“仮面”は
心の壁を破れば 君との距離 縮めることもできるのに

全てに傷つき 全てを怖れた少女だった私は
誰も信じられず 誰も愛せない 人の形の兵器ではないのか?

この“仮面”を もし 外すことができるなら
     「勇気」という名の星をひとつ 私の胸に灯してくれたのは…

ただ冷たい笑みを返すだけ 私の“仮面”は
脆すぎる私の心 でも 君になら預けられるかもしれない

願わくばこの“仮面” 粉々に砕いて
その下にある本当の笑顔を 君に捧げるから


  もう傷は隠さない 君が隣にいてくれる限り



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